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Mycoplasma属・Ureaplasma属 による性感染症・尿路感染症

Mycoplasma and Ureaplasma species( Mycoplasma genitalium, Mycoplasma hominis, Ureaplasma urealyticum, and Ureaplasma parvum.)


症状:

尿道炎

亀頭包皮炎

慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群

急性精巣上体炎

細菌性膣炎(BV)

子宮頸管炎

骨盤内炎症性疾患


女性:

膣分泌物の増加または変化

排尿困難または切迫感

月経間出血または月経後出血または月経痛

骨盤内炎症性疾患患者の下腹部痛


男性:排尿困難や尿道分泌物など


治療

ドキシサイクリン100mgを1日2回7日間経口

アジスロマイシン1gを単回経口投与する。

アジスロマイシン500mgを1日目に経口投与し、その後250mg/日を2~5日目に経口投与する。

など


小児尿路感染症(シンガポール)(Dr Memo)

 小児の尿路感染症は

有病率は割礼を受けていない男性、特に3ヵ月未満の男性で最も高く、次いで女性、割礼男性となっている。



外耳道炎治療・小児科・シンガポール(Dr Memo)

外耳炎

疫学と危険因子

水泳、水への暴露は外耳炎のリスクを高める
頻回の耳垢除去や引っ掻きなどの外傷 
補聴器、イヤホンなどの外耳道に接触する器具 
接触性皮膚炎 、乾癬、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患
放射線治療の既往

病因

外耳道には通常、好気性および嫌気性の細菌が多数生息しており、90%以上がグラム陽性菌である。
外耳炎の原因となる最も一般的な病原性細菌は以下の通りである: 
好気性菌: 好気性:緑膿菌、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌
嫌気性:バクテロイデス属、ペプトストレプトコッカス属 
真菌感染症は細菌感染症の治療後に起こることがある。
カンジダ感染症は補聴器を使用している患者に多くみられる。

治療

軽度:外用抗生物質を7日間使用する。
例:Polydexa、Dextracin、Sofradex点耳薬 3滴 TDS(鼓膜に異常がない場合) 
シプロフロキサシン0.3% 3滴 TDS(鼓膜に異常がない場合)   
中等度:クロキサシリン50mg/kg/日をQ6H×7日間、経口投与

症状の間水泳禁止

以下の場合は紹介
点状耳介でI&Dが必要な場合
軟骨炎 / 軟骨周囲炎 

ABRYSVO AREXVY RSウイルスワクチン (シンガポール版2024年10月現在)

ABRYSVO (アブリスボ) RSVワクチン

シンガポールで2024年6月承認されたワクチンです。

このRSVワクチンは妊婦への接種の適応もあります。

1) 出生から生後6カ月までの乳児における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)による下気道疾患(LRTD)および重症LRTDの予防のため、妊娠32週から36週の妊婦に積極的に予防接種を行う。

2) 60 歳以上の患者における RSV による LRTD 予防のための積極的な予防接種

60歳以上の高齢者におけるRSVによるLRTDの予防のための積極的な予防接種。


__


AREXVYは高齢者向けのみの適応になります。

AREXVYは、60歳以上の人向けののRSウイルスによる下気道疾患(LRTD)の予防のためにシンガポールで2024年5月承認されたワクチンです。

60歳以上のRSVによる下気道疾患の予防に82%以上の有効性

喘息、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性心不全(CHF)、進行した肝疾患や腎疾患、慢性呼吸器疾患・肺疾患を有する60歳以上の患者において、RSVによる下気道疾患に対し94%以上の予防効果が報告されています。


AREXVYは1回接種で、上腕部に注射します。


AREXVYの最も一般的な副作用は以下の通りです:


注射部位の痛み

疲労感

筋肉痛

頭痛

関節痛

肺炎球菌ワクチンの接種スケジュール

 肺炎球菌ワクチンの接種スケジュール

2022年11月 シンガポールでPCV20ワクチンの使用が承認されました。

慢性疾患などリスクのある19-64歳の成人もPCV20ワクチンを接種を検討可能です。



*リスクのある慢性疾患とは(例):

- アルコール使用障害

- 慢性心疾患、肺疾患、肝疾患(心不全/心筋症、COPD/喘息を含む)

- 喫煙

- 糖尿病

- 鎌状赤血球症、その他のヘモグロビン血症


肺炎球菌ワクチンのスケジュールは下のウエブサイトの表を参考にしてください。

https://www.info-cdcwatch.jp/views/showbin.php?id=291&type=73&.jpg

RSウイルス

 RSウイルス(日本小児科学会ウエブサイトより

生後1歳までに50%以上が、2歳までにほぼ100%がRSウイルスに感染。

乳幼児のウイルス性細気管支炎および肺炎の最も一般的な原因であり、症例の50~80%を占める。

症状は感冒様症状から下気道感染に至るまで様々ですが、特に生後6か月未満で感染すると重症化傾向。

合併症として無呼吸、急性脳症などがあり、後遺症として反復性喘鳴(気管支喘息)があります1)2)

有効な治療薬はありません


参考文献
  1. 国立感染症研究所: IASR Vol. 43;p79-81: 2022年4月号
    https://www.niid.go.jp/niid/ja/rs-virus-m/rs-virus-iasrtpc/11081-506t.html
  2. 国立感染症研究所: IASR Vol. 39; p207-209: 2018年12月号.
    https://www.niid.go.jp/niid/ja/id/542-disease-based/alphabet/respiratory-syncytial/idsc/iasr-topic/8473-466t.html

溶連菌咽頭炎

診断

咽頭迅速抗原検査または咽頭培養のいずれかによる化膿レンサ球菌感染の細菌学的確認に基づく


ウイルス感染を示唆する症状のない15歳以上の患者では、CentorスコアまたはModified Centor(McIsaac)スコアの結果で迅速抗原検査を実施するかどうかを決定することができるが、抗生物質治療の前に迅速抗原検出検査および/または咽頭培養による確認検査を実施すべき。


Centorスコアは0~4点で、以下の各項目を1点として評価する。

扁桃滲出液

圧痛を伴う前頸部リンパ節の腫脹

咳嗽なし

発熱の既往または38℃を超える体温の測定


Modified Centor(McIsaac)スコア

Centorスコアに 年齢を考慮して1点を加算・減算

 年齢が15歳未満の場合は+1点、45歳以上の場合は-1点


0~1点:溶連菌感染症リスクが非常に低い

3~4点:溶連菌感染症リスクが高い

Centorスコアが0~2点の成人は、迅速抗原検査やその他の検査は不要



Primary treatment

  • amoxicillin 50 mg/kg orally once daily (up to 1,000 mg) 
  •  or 
  • 25 mg/kg (up to 500 mg/dose) twice daily for 10 days

麻疹の流行とMMR ワクチンについて(2023年5月)

 麻疹の流行とMMR ワクチンについて

2023年5月、東京都内で麻疹の感染が確認されています。これは2020年2月以来3年ぶりで、インドから帰国した麻疹感染者と同じ新幹線の車両に乗車していた人を経由して感染が広がったようです。麻疹はアジア近隣諸国では多く報告されています。麻疹の感染力はきわめて強く、麻疹の免疫がない集団に1人の発症者がいたとすると、12~14人の人が感染するとされています(インフルエンザでは1~2人)。

麻疹は予防接種があり、小児は麻疹ワクチンを2回接種する必要があります。シンガポールでは、麻疹の予防接種はMMRワクチンで実施し、このワクチンには麻疹、おたふくかぜ、風疹が含まれています。日本ではMRワクチン(麻疹、風疹)を使用しています。シンガポールに住むすべての子どもに麻疹予防接種が義務付けられており、大人で麻疹の予防接種を受けていない人への接種も推奨されています。妊娠中は接種できません。2023年5月現在、近隣諸国では、インドネシア、インド、パキスタンで麻疹の流行が多く報告されています。海外渡航の機会があり、大人で麻疹の予防接種を2回接種を受けていない、あるいは接種歴が不明の方は、追加接種について医師とご相談ください。

参考資料:

国立感染症研究所 https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ma/measles/221-infectious-diseases/disease-based/ma/measles/549-measles-qa.html

アメリカ疾病予防管理センター https://www.cdc.gov/globalhealth/measles/data/global-measles-outbreaks.html


ジカウイルス感染症に関して(2023年5月23日更新)

 ジカウイルス感染症に関して(2023年5月23日更新)


1. ジカウイルス感染症は、主にAedes蚊(デング熱と同じ媒介蚊)によって感染する。

精液からウイルスが検出されるため、性行為による感染もまれに起こりうる。

2. 潜伏期間:感染した蚊に刺されてから3~14日。

症状:発熱、斑点状皮疹、関節痛、筋肉痛、頭痛、結膜炎などが、4~7日間続く。症状が出るのは5人に1人程度。症状はデング熱に似ている。

3. 妊娠中の感染は、小頭症などの胎児合併症と関連。

4. 診断方法: 血清・尿の逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査により診断。

(シンガポールのガイドラインでは尿検査が推奨されている。)

ジカ熱検査は他のフラビウイルス(例:デング熱や黄熱病)に対する抗体との交差反応性があります。したがってシンガポールでは血清学的のみで検査を使用することは推奨されない。

5. ジカ熱に対する特異的な治療法はない。

6. ジカ熱感染を予防するためのワクチンはない。

7. 予防:シンガポールの感染地域に住んでいる人は蚊対策。妊娠希望があれば、流行地には渡航しない。


■夫婦で妊娠を計画しており、どちらかがジカ流行地域被災地に住んでいる場合の、MOH(シンガポール保健省)のアドバイス


まずは、蚊に刺されないように厳重に注意すること。

蚊に刺されないように厳重に注意し、さらに疑問があれば医師に相談する。


女性に症状がある場合(発熱や発疹のほか、目の充血や関節痛などの症状がある場合): 速やかに医療機関を受診し、ジカ熱の検査を受ける。

ジカ熱の診断を受けた場合、

妊娠を希望する場合は、回復後少なくとも8週間は性行為を控える。


男性に症状がある場合(発熱や発疹、目の充血や関節痛などの他の症状がある場合): 速やかに医療機関を受診し、ジカ熱と診断された場合、少なくとも3か月間はコンドームを正しく使用し避妊をすること。


2022年狂犬病ワクチンによる予防接種についてのアップデート(2回接種法)

2022年 狂犬病ワクチンによる予防接種についてのアップデート(2回接種法)

HDCV(ヒト二倍体細胞ワクチン)またはPCECV(精製ニワトリ胚細胞ワクチン)の[0、7日]による2回接種の選択肢が新たに推奨されています。

[0、7、21あるいは28日]による3回接種とどちらかにするかは医師と相談しましょう。


USの予防接種実施諮問委員会(ACIP)は、米国における病気を予防するためのワクチンの使用方法に関する米国の勧告を策定しています。ACIPは2022年5月に狂犬病ワクチンの推奨事項を更新しました。:


人の狂犬病を予防するためのACIP推奨 追加事項(2022年)

*3回接種のPrEPスケジュールに代わって、2回接種のPrEPスケジュールが最長3年間有効とみなされます。3年を超えて保護を維持するためのオプションも説明されています。

*狂犬病リスクカテゴリー:5つのリスクグループ(下のウエブサイトを参照)。

*狂犬病ワクチンのブースター投与が必要かどうかを判断するために使用される、検査値(抗体価)が改訂されました。

*2年ごとの抗体価測定が推奨されていた多くの人は、1回のみの抗体価測定(および一定レベル以下の場合はブースター)または1回のブースターを必要とするようになった。


狂犬病リスクカテゴリーと詳しい説明については、以下のウエブサイトを参照:https://www.cdc.gov/rabies/prevention/pre-exposure_vaccinations.html


類鼻疽 メリオイドーシス(勉強メモ)

東南アジアなど熱帯・亜熱帯気候の地域で、土壌・水から感染する感染症。

発症のピークは40歳から60歳で、糖尿病、慢性的な肺疾患、腎機能低下、免疫力低下、癌などの基礎疾患がある人に多い。

小児も発症する。急性化膿性耳下腺炎は、タイでは小児に多い。


症状:

急性肺感染症、急性敗血症、局所化膿性感染症(皮膚、肺、内臓)

患者は無熱であることもある。



診断:血液培養、患部(喀痰、皮膚病変、内臓膿瘍など)の浸出液のグラム染色・培養

類鼻疽菌 B. pseudomalleiは、グラム陰性細菌で、滲出液のメチレンブルー染色やグラム染色、培養によって同定することができる。


胸部X線検査:典型的には、上葉に所見を認め、しばしば空洞化し、結核に類似する。


レジオネラ症・レジオネラ肺炎(勉強メモ)

レジオネラ感染症の臨床症状は、肺炎を伴わない軽度のインフルエンザ様疾患(ポンティアック熱ー治療不要)から、レジオネラ肺炎、全身症状を起こすレジオネラ症まで様々です。

旅行(ホテル、クルーズ)後 2 週以内の肺炎・高熱・胃腸症状は鑑別にレジオネラ症を考慮する必要があります。

ポイント

肺炎だけでなく胃腸、神経症状もある 

胸部X線所見は様々で、非特異的

診断:尿中レジオネラ抗原検査(シンガポールではNUHやSGHの外注検査のようです)

ヒト-ヒト感染はない 

治療: Azithromycin、Levofloxacin

症状について ①38.8 度以上発熱(67-100%) ②咳(41-92%) ③悪寒(15-77%) ④呼吸困難(36-56%) ⑤40 度以上発熱(21-62%) ⑥神経所見(38-53%) ⑦筋肉・関節痛(20-43%) ⑧下痢(19-47%) ⑨頭痛(17-43%) ⑩嘔気嘔吐(9-25%)

参考文献:レジオネラ病(セミナー) The Lancet,Jan.23,2016 西伊豆健育会病院 カンファランス資料 H28.11 仲田和正先生


ニパウイルス~アジアの人獣共通感染症

1998 年後半から 1999 年初頭にかけて、マレーシアで飼育された豚に脳炎症候群を引き起こす新しいパラミクソウイルス感染症の感染拡大がありました。その後、感染はシンガポールの食肉処理場の労働者に広がり、報告された 265 例の脳炎のうち 105 例が死亡し、死亡率は 40% 近くに達しました。

その後、シンガポールやマレーシアでは新しい症例は報告されていないようです。バングラデシュやインドを中心とするアジアの一部地域では、ほぼ毎年発生が確認されています。

この原因ウイルス ニパウイルスは人獣共通感染症であり、自然界では、オオコウモリと呼ばれるフルーツコウモリが保菌者となっています。豚や人に病気を引き起こすことも知られています。

ウイルスが存在する地域では、豚やコウモリとの接触を避け、感染したコウモリによって汚染された可能性のあるナツメヤシ(デーツ)ジュースを生で飲まないようにしましょう。


女性の再発性膀胱炎

注意:治療については主治医と相談してください

膀胱炎とは、膀胱の炎症です。

女性はだんだん年を取ると膀胱炎を何度も繰り返すことがあります

1年間に3回の感染が証明された場合、または6ヶ月間に2回の感染が証明された場合を再発性感染と定義されます。

膀胱炎が頻発する明確な理由はありません。


無症候性膀胱炎(症状のない膀胱炎)は一般的には治療の対象ではありません(様子を見てよい)


症状がある場合の治療法はいくつかあります。例えば、

1.抗生物質の短期間投与

2.低用量の抗生物質の定期的な長期服用(ST合剤、セファレキシンなど)、

3.性交渉の後に1回抗生物質を服用する(性交渉が膀胱炎を誘発するような場合)


その他、検討する薬:乳酸菌、経腟エストロゲン薬、痛み止め


症状を繰り返す場合は尿検査と抗菌薬感受性検査を受けておくことをお勧めします。


1.膀胱炎短期治療の場合の内服方法

trimethoprim-sulfamethoxazole 160/800 mg orally twice daily for 3 days

(1錠S-T合剤400/80㎎の場合、1回2錠、1日2回、3日間の内服になります。)

2.Continuous prophylaxis(膀胱炎予防のため連続内服の場合)

  • drug regimens for continuous antimicrobial prophylaxis include

    • ・trimethoprim-sulfamethoxazole (co-trimoxazole) 40/200 mg orally once daily or 3 times weekly1回0.5錠1日1回、あるいは週3回

    • ・cephalexin 125 or 250 mg orally once daily

3.Postcoital prophylaxis(性交後の予防内服)

drug regimens for postcoital antimicrobial prophylaxis, taken as single oral dose as soon as possible after intercourse

  • ・trimethoprim-sulfamethoxazole (co-trimoxazole) 40/200 mg 1回0.5錠

  • ・trimethoprim-sulfamethoxazole 80/400 mg 1回1錠

  • ・cephalexin 250 mg 

  •  

インフルエンザワクチンについて

今年は新型コロナウイルス感染症の流行により各国の国境閉鎖や移動の制限などで生活が大きく影響を受けています。例年これから北半球は冬の時期でインフルエンザ感染者数が増える時期に入りますが、こういった呼吸器感染症は、検査なしで症状から原因ウイルスを診断することは不可能です。ワクチンで予防できるインフルエンザの感染をできるだけ防ぎましょう。

インフルエンザワクチンには不活化されたウイルスが含まれています。接種後、ワクチンに対する免疫系の正常な反応により、微熱や痛みを感じることがありますが、通常1~2日の間に改善します。一時的に筋肉の麻痺がおこるギランバレー症候群という重篤な副作用は100万接種に1例程度で極めてまれです。

毎年のワクチン接種により、季節性インフルエンザのリスクが平均で約60%減少することが示されています。インフルエンザウイルスにはいくつかの型があるため、ワクチンを接種してもインフルエンザに罹患することもあります。しかし、ワクチン接種することで、インフルエンザ重症化や合併症の発生率を低下させ、その地域、社会においてインフルエンザの発生率を低下させることが報告されています。家族間は距離を取ることが難しく感染予防が難しいため、ご家族のみなさまでインフルエンザワクチン接種をご検討ください。

killer sore throatー耳鼻科救急(メモ・その2)

急性喉頭蓋炎は小児に多く、インフルエンザ菌(Hib)などの細菌感染が原因になる。
急性喉頭蓋炎では咽頭痛があまりにも激しいので、唾液を口から垂れ流し、
気道を確保するために、首を前に突き出すような姿勢をとり(tripod position)、
喉頭蓋の腫脹が強い場合はくぐもった声(muffled voice)になる。
頸部側面X線では,腫脹した喉頭蓋の所見がみられる(thumb sign)。
緊急時には輪状甲状間膜穿刺を行うこともある。

扁桃周囲膿瘍は扁桃周囲炎がもっと進展し扁桃の被膜の外に膿が溜まってしまう状態、
扁桃の片側だけに起ることが多く、 水も飲めないほどの痛みや高熱がある。
頚部が腫れ、開口障害が起こる。
20~30歳代の成人に多く,小児・高齢者に少ない。

咽後膿瘍は、小児では上気道炎から咽後部リンパ節炎ー>咽後膿瘍を形成することが多く,
成人では異物や外傷など続発性に発症することが多い。造影CTで診断。

口底蜂窩織炎は、歯性感染症であることが多い。
重篤な例で炎症が後方へ波及すると気道狭窄による呼吸障害を、
下方へ波及すると頚部蜂窩織炎や縦隔炎を起こすことがある。

レミエール症候群は、 10 代~20 代の健康な若者でやや男性に多い。
上気道感染に引き続き内頚静脈血栓および菌血症、
さらには敗血症性肺塞栓までを一括りにした症候群です。
内頚静脈の血栓性静脈炎の症状(頸部痛、頸部腫脹)があり
造影CTや血液培養を行なう。血栓性肺塞栓を起こすと呼吸困難となる。

killer sore throatー耳鼻科の救急(メモ)

日曜日の昼、オンラインで参加した救急医療カンファレンスの
生中継に遭遇し、勉強になったので復習…
咽頭痛は主には咽頭炎・扁桃炎と診断されることが多いが、
中にはkiller sore throatという耳鼻科の救急5疾患がある。

急性喉頭蓋炎、Acute Epiglottitis
扁桃周囲膿瘍、Peritonsillar abscess
咽後膿瘍、Retropharyngeal Abscess
口底蜂窩織炎 Cellulitis of mouth floor(Ludwig’s angina)
レミエール症候群 Lemierre Syndrome


呼吸困難、開口障害、くぐもった声(Muffled voice)、
嚥下困難、唾液を垂れ流す、起坐呼吸座位がみられる、
吸気性喘鳴(Strider)場合は、
こういったkiller sore throatを念頭に
診察、検査、気道確保、紹介等を検討する。


コロナでオンライン講義が増えて便利になりました。
続きは次の記事で…

伝染性単核球症(IM)

思春期から若年で発熱、咽頭痛、倦怠感があり、咽頭炎の所見がある場合
伝染性単核球症(IM)の可能性があります。

主に原因となるEBウイルスは、
世界人口の90%以上が感染しているよくあるウイルスで、
人の唾液などに分泌されて感染伝播します。
乳児期および小児期では、不顕性感染(初感染で症状がないこと)が多く
思春期および若年成人期で感染すると4-6週間の潜伏期の後、
70%〜80%の人にIMを発症します。

リンパ球のうち非定型リンパ球
(大きく、不規則な形の反応性リンパ球)を多く認めます。
しばしば肝機能障害を合併します。
血液検査で、VCA-IgG、VCA-IgM、EBNAを測定します。

サイトメガロウイルスも原因の5-10%を占めることがあり
(CMV IgM、IgGの測定も検討)
その他、HHV6型、トキソプラズマ症、急性HIV感染症が原因になることもあります。

IMにアモキシシリンやβラクタム系抗菌薬を使用後、
麻疹様皮疹(morbilliform rash)が出ることがあります(抗菌薬の関連不明)。
合併症で脾臓腫大を認め、
コンタクトスポーツなどで脾臓破裂をおこすことがあり、
最低3週間程度のの活動制限をおすすめします。

COVID-19とデング熱の症状の違い

デング熱が流行しています。発熱がある場合に鑑別の参考に役立ちます。
+は0-20%、+++++は80-100%の人に見られる症状です。
(Source:NCID)

症状
COVID-19
デング熱
++++
+++++
+++
++
咽頭痛
+++
++
鼻水
++
+
筋肉痛
++
+
+

息切れ
+
+
倦怠感
+
+++++
頭痛
+
+++++
腹痛
+
+
胸痛
+
+
関節痛
+
++++
発疹
+
++
嘔気・嘔吐
+
++++
下痢
+
++
出血
0
++
結膜炎
0
+
Centrepointのクリニック, Singapore, Singapore
シンガポールの総合診療医です