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高山病の予防及び治療薬


1.Acetazolamide アセタゾラミド(商品名 Diamoxダイアモックス)

この薬を高地に上がる前に飲んでおけば山酔いを防止することができます。また症状が現れてからでも服用すれば早急に改善されます。この薬の作用により、血液が酸性となるために呼吸が刺激されて増加し、その結果高地に順応することができます。通常の投与量は250mgを1 日2回高地に行く前の日から服用します。125mg1日2回でも同様の効果が得られて副作用が少なくなると言われています。(日本では125mg1日2 回の服用を勧められることもあります。)この薬に対するアレルギー反応は稀ですが、アセタゾラミドはスルフォンアミド化合物であるため、サルファ剤にアレルギーの ある方の服用はできません。


2.Dexamethasone デキサメタゾンは副腎皮質ホルモン剤で、山酔いと高地脳浮腫の予防と治療に効果があることが知られています。この薬剤によ り高山病の症状は改善しますが、高地に順応する効果はありません。そのため、服用している間だけ症状を抑えますので、もし高地にいく途中で薬がなくなった ら、高山病の症状が急に現れる危険があります。高地に旅行される方は、まず山酔いの防止のためにアセタゾラミドを服用して、激しい症状が出たときのために デキサメタゾンを持っていた方がよいでしょう。投与量は6時間毎に4mgです。(1錠0.5mgのため1回量8錠。)




http://jstm.gr.jp/knowledge/%E9%AB%98%E5%B1%B1%E7%97%85%E3%81%A7%E6%AD%BB%E3%81%AA%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB/


Acetazolamide 250mg tablet  take 1 tablet bd

start medicine 24-48 hours before ascent, then continue for at least 48 hours whilde at high altitude, or as necessary to control symptoms.


Dexamethasone 0.5mg  症状が出たとき 投与量: 6時間毎に4mgです。

テロの被害を最小限にとどめるための予防措置

 

爆発音,銃撃音を聞いたら

• 直ちに伏せる。頭部を保護する。叫ばない

• 頑丈な物の陰に隠れる。

• できるだけ速やかに,低い姿勢で現場を離れる。

• 2回目の爆発やガラスの飛散等に注意し,現場には決して戻らない

近づかない。


避難が困難な場合(実行犯に気づかれないための対策)


• 隠れる。

• 電気を消す(室内にいる場合)。

• 物音を立てない。携帯の音が鳴らないようにする。


可能であれば,外部の支援を要請する

• 携帯でメッセージ送信等


暴走する車両を目にしたら(車両突入の場合)

• 車の走行ルートから離れ,ビル・街路樹・街頭等の陰に隠れる。

• 車両が向かってくる場合,群衆と同じ方向に逃げない。

• 安全が確保されたと確認されるまで,安全な場所を離れない。


仲本光一先生の海外渡航者向けの研修スライドより情報いただきました。


麻疹の流行とMMR ワクチンについて(2023年5月)

 麻疹の流行とMMR ワクチンについて

2023年5月、東京都内で麻疹の感染が確認されています。これは2020年2月以来3年ぶりで、インドから帰国した麻疹感染者と同じ新幹線の車両に乗車していた人を経由して感染が広がったようです。麻疹はアジア近隣諸国では多く報告されています。麻疹の感染力はきわめて強く、麻疹の免疫がない集団に1人の発症者がいたとすると、12~14人の人が感染するとされています(インフルエンザでは1~2人)。

麻疹は予防接種があり、小児は麻疹ワクチンを2回接種する必要があります。シンガポールでは、麻疹の予防接種はMMRワクチンで実施し、このワクチンには麻疹、おたふくかぜ、風疹が含まれています。日本ではMRワクチン(麻疹、風疹)を使用しています。シンガポールに住むすべての子どもに麻疹予防接種が義務付けられており、大人で麻疹の予防接種を受けていない人への接種も推奨されています。妊娠中は接種できません。2023年5月現在、近隣諸国では、インドネシア、インド、パキスタンで麻疹の流行が多く報告されています。海外渡航の機会があり、大人で麻疹の予防接種を2回接種を受けていない、あるいは接種歴が不明の方は、追加接種について医師とご相談ください。

参考資料:

国立感染症研究所 https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ma/measles/221-infectious-diseases/disease-based/ma/measles/549-measles-qa.html

アメリカ疾病予防管理センター https://www.cdc.gov/globalhealth/measles/data/global-measles-outbreaks.html


ジカウイルス感染症に関して(2023年5月23日更新)

 ジカウイルス感染症に関して(2023年5月23日更新)


1. ジカウイルス感染症は、主にAedes蚊(デング熱と同じ媒介蚊)によって感染する。

精液からウイルスが検出されるため、性行為による感染もまれに起こりうる。

2. 潜伏期間:感染した蚊に刺されてから3~14日。

症状:発熱、斑点状皮疹、関節痛、筋肉痛、頭痛、結膜炎などが、4~7日間続く。症状が出るのは5人に1人程度。症状はデング熱に似ている。

3. 妊娠中の感染は、小頭症などの胎児合併症と関連。

4. 診断方法: 血清・尿の逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査により診断。

(シンガポールのガイドラインでは尿検査が推奨されている。)

ジカ熱検査は他のフラビウイルス(例:デング熱や黄熱病)に対する抗体との交差反応性があります。したがってシンガポールでは血清学的のみで検査を使用することは推奨されない。

5. ジカ熱に対する特異的な治療法はない。

6. ジカ熱感染を予防するためのワクチンはない。

7. 予防:シンガポールの感染地域に住んでいる人は蚊対策。妊娠希望があれば、流行地には渡航しない。


■夫婦で妊娠を計画しており、どちらかがジカ流行地域被災地に住んでいる場合の、MOH(シンガポール保健省)のアドバイス


まずは、蚊に刺されないように厳重に注意すること。

蚊に刺されないように厳重に注意し、さらに疑問があれば医師に相談する。


女性に症状がある場合(発熱や発疹のほか、目の充血や関節痛などの症状がある場合): 速やかに医療機関を受診し、ジカ熱の検査を受ける。

ジカ熱の診断を受けた場合、

妊娠を希望する場合は、回復後少なくとも8週間は性行為を控える。


男性に症状がある場合(発熱や発疹、目の充血や関節痛などの他の症状がある場合): 速やかに医療機関を受診し、ジカ熱と診断された場合、少なくとも3か月間はコンドームを正しく使用し避妊をすること。


武田製薬デング熱ワクチンQdenga

 ★シンガポールでは2023年4月現在まだ未認可


武田製薬デング熱ワクチンQdengaは、4歳からのデング熱疾患の予防に適応されます。


Qdengaは、1回0.5mLを2回(0ヶ月と3ヶ月)のスケジュールで投与すること。

2023年4月現在、ブースターの必要性についての見解はない(追加接種必要なし)。

生ワクチン、皮下注射で投与する。


禁忌

成分に対する強いアレルギーがある

免疫機能が低下している

妊娠中・授乳中


2022年狂犬病ワクチンによる予防接種についてのアップデート(2回接種法)

2022年 狂犬病ワクチンによる予防接種についてのアップデート(2回接種法)

HDCV(ヒト二倍体細胞ワクチン)またはPCECV(精製ニワトリ胚細胞ワクチン)の[0、7日]による2回接種の選択肢が新たに推奨されています。

[0、7、21あるいは28日]による3回接種とどちらかにするかは医師と相談しましょう。


USの予防接種実施諮問委員会(ACIP)は、米国における病気を予防するためのワクチンの使用方法に関する米国の勧告を策定しています。ACIPは2022年5月に狂犬病ワクチンの推奨事項を更新しました。:


人の狂犬病を予防するためのACIP推奨 追加事項(2022年)

*3回接種のPrEPスケジュールに代わって、2回接種のPrEPスケジュールが最長3年間有効とみなされます。3年を超えて保護を維持するためのオプションも説明されています。

*狂犬病リスクカテゴリー:5つのリスクグループ(下のウエブサイトを参照)。

*狂犬病ワクチンのブースター投与が必要かどうかを判断するために使用される、検査値(抗体価)が改訂されました。

*2年ごとの抗体価測定が推奨されていた多くの人は、1回のみの抗体価測定(および一定レベル以下の場合はブースター)または1回のブースターを必要とするようになった。


狂犬病リスクカテゴリーと詳しい説明については、以下のウエブサイトを参照:https://www.cdc.gov/rabies/prevention/pre-exposure_vaccinations.html


類鼻疽 メリオイドーシス(勉強メモ)

東南アジアなど熱帯・亜熱帯気候の地域で、土壌・水から感染する感染症。

発症のピークは40歳から60歳で、糖尿病、慢性的な肺疾患、腎機能低下、免疫力低下、癌などの基礎疾患がある人に多い。

小児も発症する。急性化膿性耳下腺炎は、タイでは小児に多い。


症状:

急性肺感染症、急性敗血症、局所化膿性感染症(皮膚、肺、内臓)

患者は無熱であることもある。



診断:血液培養、患部(喀痰、皮膚病変、内臓膿瘍など)の浸出液のグラム染色・培養

類鼻疽菌 B. pseudomalleiは、グラム陰性細菌で、滲出液のメチレンブルー染色やグラム染色、培養によって同定することができる。


胸部X線検査:典型的には、上葉に所見を認め、しばしば空洞化し、結核に類似する。


レジオネラ症・レジオネラ肺炎(勉強メモ)

レジオネラ感染症の臨床症状は、肺炎を伴わない軽度のインフルエンザ様疾患(ポンティアック熱ー治療不要)から、レジオネラ肺炎、全身症状を起こすレジオネラ症まで様々です。

旅行(ホテル、クルーズ)後 2 週以内の肺炎・高熱・胃腸症状は鑑別にレジオネラ症を考慮する必要があります。

ポイント

肺炎だけでなく胃腸、神経症状もある 

胸部X線所見は様々で、非特異的

診断:尿中レジオネラ抗原検査(シンガポールではNUHやSGHの外注検査のようです)

ヒト-ヒト感染はない 

治療: Azithromycin、Levofloxacin

症状について ①38.8 度以上発熱(67-100%) ②咳(41-92%) ③悪寒(15-77%) ④呼吸困難(36-56%) ⑤40 度以上発熱(21-62%) ⑥神経所見(38-53%) ⑦筋肉・関節痛(20-43%) ⑧下痢(19-47%) ⑨頭痛(17-43%) ⑩嘔気嘔吐(9-25%)

参考文献:レジオネラ病(セミナー) The Lancet,Jan.23,2016 西伊豆健育会病院 カンファランス資料 H28.11 仲田和正先生


ニパウイルス~アジアの人獣共通感染症

1998 年後半から 1999 年初頭にかけて、マレーシアで飼育された豚に脳炎症候群を引き起こす新しいパラミクソウイルス感染症の感染拡大がありました。その後、感染はシンガポールの食肉処理場の労働者に広がり、報告された 265 例の脳炎のうち 105 例が死亡し、死亡率は 40% 近くに達しました。

その後、シンガポールやマレーシアでは新しい症例は報告されていないようです。バングラデシュやインドを中心とするアジアの一部地域では、ほぼ毎年発生が確認されています。

この原因ウイルス ニパウイルスは人獣共通感染症であり、自然界では、オオコウモリと呼ばれるフルーツコウモリが保菌者となっています。豚や人に病気を引き起こすことも知られています。

ウイルスが存在する地域では、豚やコウモリとの接触を避け、感染したコウモリによって汚染された可能性のあるナツメヤシ(デーツ)ジュースを生で飲まないようにしましょう。


メラトニン(時差ボケ治療)

メラトニンは夜に分泌されるホルモンです、明るい光とは逆の効果があり、時差ぼけ治療や睡眠への効果が報告されています。

メラトニンの至適量はまだよく分かっておらず、0.5ミリグラムという少量でも、5ミリグラム以上と同様の効果があるようですが、高用量のほうがより睡眠を促進するという研究結果もあります。

副作用はほとんどありませんが、めまい、頭痛、日中の眠気、食欲不振、まれに吐き気や方向感覚の喪失などが報告されています。

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時差ぼけ治療

旅行前の場合、これから渡航する渡航先の現地時間の夜に内服します。

●メラトニン1.5~3mgを1日目の午後11時(渡航先の現地時間)、2日目の午後10時30分、3日目の午後10時頃に経口で内服します(口の中で溶かします)。

あるいは、

●現地時間の 就寝の少し前(1~2時間)に服用します。


●旅行から帰ってきた時の時差ぼけは、お住まいの場所の夜時間に服用してください。

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シンガポールではサプリメントとして3,5,10㎎のメラトニンを薬局で購入可能です。

子連れ旅行の注意点


シンガポール滞在中に家族で近隣諸国に旅行に行く機会も多いのでは?
子連れ旅行の注意点をまとめました。

旅行の計画
必要な予防接種を確認しておく
旅行行程は子供向けの余裕のある内容にする
体調不良時に備え、快適に過ごせる施設(ホテル)を選ぶ


持ち物
おやつ、ベビーフード(必要あれば粉ミルク)
ハンドクリーナー/ウエットティッシュなど衛生対策、防蚊・日焼け対策
海外旅行保険

途上国での食事
乳児には、母乳がもっとも安全
加熱調理されたものを、温かいうちに食べる
果物はカットフルーツを避け、皮を自分でむいで食べるものがもっとも安全(特に野外)
ビンの水は品質が信頼できない場合があるので、粉ミルク用には煮沸して使用

旅先での注意点
けがや土からの感染症の危険があるため、靴を着用(特に海岸での素足はけがの原因になりやすい)
旅先での事故に注意(子どもの旅先の死亡原因は、交通事故、溺水が多い)
事故、迷子など、万一に備え身分証明書を身につけさせる。


下痢
旅先で最も多い体調不良が下痢
乳幼児は脱水を防ぐため水分補給が重要、ORSの使用を検討
現地で市販(Over the counter)の下痢止めは子供には用いない。脱水を防ぐのが重要。
脱水で尿が出ない、高熱が続く、腹痛が強い、便に血が混じっているときには、現地の医療機関を受診する


虫刺されで感染する病気
マラリアの流行地であれば、予防薬が必要かどうか医師に確認する。(例、タイのへき地の滞在などでは予防薬がいらないことが多い)
特に子供は虫対策を、長そで、長ズボン、虫よけを使用、夜はエアコンの使用できる部屋で過ごし、虫刺されのリスクが高ければ蚊帳を利用する。
虫が媒介するで感染症:デング熱、リーシュマニア、トリパノソーマなど

狂犬病
大人と比べ、子供は狂犬病に感染する危険が高い。
動物に近寄らないのが原則。
動物にかまれたり引っかかれたりしたら、親に報告するように事前に教育しておく。
どんな動物にかまれてもしっかり石鹸で傷口を洗い、原則医療機関に受診する。


虫除成分
DEETは有効性が高く、濃度が高いほど長時間有効
乳児(2か月以上)には高濃度の製品は避けましょう(DEET10-20%でしたら問題なく使用可)。


事故
子供の死亡原因の1位は交通事故、2位は溺水
チャイルドシート持参の検討
ライフジャケットの着用

旅行者下痢症

旅行者下痢症 

先進国の住人が、アジア、中東、中央南アメリカ、アフリカの、感染症に罹患する危険の高い地域に旅行した場合、下痢にかかる頻度は約40%という報告があります。

原因となる病原体は、細菌8090%、ウイルス58%です。長期の旅行の場合は、寄生虫が原因となる可能性が増加し、約10%あります。最も高い原因菌は大腸菌です。細菌やウイルスが原因の場合は、丸2日以内に下痢が始まることが多く、寄生虫が原因の場合は、感染後症状が現れるまで、1−2週間程度かかることが一般的です。

食品が十分に加熱されているものを選ぶ、調理されてすぐに食べる、瓶や缶の飲料を選ぶ、普通の水ではなく炭酸水を選択する、フルーツジュース、氷、牛乳が入った飲料を避ける、生野菜を避ける、食事前やトイレのあとの手洗いを心がけることで、旅行者下痢症になる危険を下げることができます。

通常は5日以内の経過で症状がおさまることが多いです。嘔吐や下痢、発熱などの症状が強い場合、慢性的に症状が続く場合などは、医師に相談してください。通常、便の検査を行い、抗菌薬などの薬を検討します。旅行中の下痢に備えて、乳酸菌製剤や下痢止め(リスクが高い渡航では抗菌薬)の処方もお気軽にご相談ください。

ラベル

Centrepointのクリニック, Singapore, Singapore
シンガポールの総合診療医です