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乳児および小児における悪心・嘔吐(MDSマニュアル)(Dr Memo)

悪心または嘔吐が重症であるか寛解しない場合や,2歳以上の小児では,慎重に制吐薬を使用する必要がある。

有用な薬剤としては以下のものがある:

  • プロメタジン:2歳以上の場合,0.25~1mg/kg(最高25mg)経口,筋肉内,静脈内,または直腸内投与,4~6時間毎

  • プロクロルペラジン:2歳以上で体重9~13kgの場合,2.5mg経口投与,12~24時間毎;体重13~18kgの場合,2.5mg経口投与,8~12時間毎;体重18~39kgの場合,2.5mg経口投与,8時間毎;体重39kgを超える場合,5~10mg経口投与,6~8時間毎

  • メトクロプラミド:0.1mg/kg経口または静注,6時間毎(最高10mg/回)

  • オンダンセトロン:0.15mg/kg(最高8mg)静注,8時間毎または,経口剤使用の場合,2~4歳は2mg,8時間毎;4~11歳,4mg,8時間毎;12歳以上,8mg,8時間毎

プロメタジンはH1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬)で末梢刺激に対する嘔吐中枢の反応を阻害する。最も頻度の高い有害作用は,呼吸抑制,鎮静,めまい,不安,霧視,口腔乾燥,勃起障害,および便秘であり,この薬剤は2歳未満の小児には禁忌である。プロメタジンの治療量により,斜頸などの錐体外路系有害作用が生じることがある。

プロクロルペラジンは弱いドパミン受容体遮断薬で,化学受容器引金帯を抑制する。眠気,めまい,不安,奇妙な夢,不眠症,乳汁漏出症,アカシジア,およびジストニアが最も頻度の高い有害作用である。

メトクロプラミドはドパミン受容体拮抗薬で,中枢性かつ末梢性に作用し,胃の運動を増加させ,化学受容器引金帯への求心性インパルスを減少させる。眠気,めまい,興奮,頭痛,下痢,アカシジア,およびジストニアが最も頻度の高い有害作用である。

オンダンセトロンは選択的セロトニン(5-HT3)受容体遮断薬で,末梢での嘔吐反射の開始を阻害する。急性胃腸炎で経口補水療法(ORT)が無効な小児では,オンダンセトロンの単回投与は安全かつ効果的である。オンダンセトロンによりORTが容易になることで,輸液の必要性を回避でき,また輸液を受けている小児では入院を避けるのに役立つ場合がある。典型的には,反復投与により下痢が持続する原因となる恐れがあるため,単回投与のみ行う。その他の頻度の高い有害作用としては,頭痛,めまい,眠気,霧視,便秘,筋硬直,頻脈,幻覚などがある。


引用元:乳児および小児における悪心・嘔吐

執筆者:Deborah M. Consolini, MD, Thomas Jefferson University Hospital

レビュー/改訂 2020年 6月

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/19-%E5%B0%8F%E5%85%90%E7%A7%91/%E4%B9%B3%E5%85%90%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E5%B0%8F%E5%85%90%E3%81%AE%E7%97%87%E7%8A%B6/%E4%B9%B3%E5%85%90%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E5%B0%8F%E5%85%90%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E6%82%AA%E5%BF%83%E3%83%BB%E5%98%94%E5%90%90#%E8%A9%95%E4%BE%A1_v1084309_ja

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