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海外帯同でのメンタルヘルスケア

 初めての海外帯同で仕事をやめて2か月前シンガポールに来ました。来た頃は初めての海外暮らしで、見るもの食べるもの珍しく楽しく過ごしていたのですが、最近は夫が仕事に出かけると家事もせずにぼんやりと過ごすことがあり、気分が落ち込むように感じます。何かアドバイスもらえますか?(30代女性Yさん 夫と2人暮らし 在星歴2か月)


Yさんは自分の仕事退職、初めての海外転居など、大きな人生の転機を経験されたのではないかと思います。現在、新しい国での生活のなかで気分の落ち込みを感じられているということですね。


転居後しばらくは課題が多く、たくさんの困難があったかもしれません。ー 家探しも大変、食材も日本で使っていたものとは少し違う、食事を作るのも毎日試行錯誤、洗濯や掃除もいままでとは勝手が違います。


毎日の家事などの段取りもすこし落ち着いてきて、ようやく自分の時間ができるようになると、今度はふと自分のアイデンティティについて考えることも多くなります。自分の役割やその日の予定などは毎日を過ごすエネルギー源ともいえます。日本で仕事をしていた方は、退職後役割を失ったことで、心にぽっかり穴が開いたように感じる人もいます。今までは気軽に会えていた日本の家族や友達、自分の生活で大切だったものやがなくなったようで心細く感じているかもしれません。


帯同で来られた方は、妻としての役割、子どもがいれば母親の役割が大きくなるので、自分の家族との関係も良好に心がけることが大切です。また、日本にいる自分の家族や友人とも、時々連絡を取りましょう。しばらく経つとだんだん新しい生活にも慣れてくることが多いので、自分がまずまず幸せだと感じられる1日1日を過ごすことができればそれで良いでしょう。しかし、何となく自分が元気がないと感じる時には、体と心の安定を得るため自分のケアを大事にしてください。良質な食事と睡眠を取り、適度に体を動かすようにしましょう。


新しい生活を始めるにもエネルギーが必要です。エネルギーが不足しているときには焦らず自分のペースで大丈夫。エネルギーが溜まってきたら、新しい趣味や勉強を始めたり、チャンスがあればボランティアや仕事など新しい社会的な役割を得るのもよいでしょう。何か予定や用事があればベッドから立ち上がる力にもなります。必要があれば、カウンセリングや医療機関に気軽に相談してくださいね。


Centrepointのクリニック, Singapore, Singapore
シンガポールの総合診療医です