アトピー性皮膚炎の保湿について


●保湿剤の塗り方
入浴後、皮膚がまだしっとりとしている間に、保湿剤!
(入浴
10分以内!アトピー性皮膚炎の場合、入浴により皮膚に水分が潤った後の水分蒸発拡散が早いです。)

市販のワセリンはかなり優れた保湿薬です。

ワセリンはべたつくのがちょっと。。という方には、クリーム系の保湿薬を処方します。
もし、皮膚に亀裂(ひび割れ)がある場合は、ワセリンを先に塗って、その後クリーム系保湿薬いう使い方もいいでしょう。

皮膚の炎症が強い場合は、ステロイド外用薬も処方します。保湿剤を併用する場合は、重ね塗りをします。どちらが先でもよいです。
朝夕でステロイド外用薬と保湿剤を塗り分けてもOKです。
外用薬の混合は避けたほうがよいでしょう。
(外用薬を混合すると、保湿剤の乳化状態の分離、ステロイドは副作用は残存しつつ効果が低下するなどの問題があります。)

ステロイドの塗り方です。
チューブの口から2-3mm出し、手のひらで少し広げながら塗ってみましょう。これで大人の拳大程度の面積です。塗りこまず、テカテカ光るくらいがちょうどいいです。
処方前にクリニックで指導いたします~。


以下は、保湿剤のまとめノートです。
  
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●アトピー性皮膚炎の皮膚に適した保湿剤とは
アトピー性皮膚炎の角質は、角質細胞の表面積が小さくなり、角化周期も短縮しています(バリア機能の低下)。皮脂の分泌量や発汗量も低下しています(乾燥化)。
皮膚の細胞間は、脂質の主成分であるセラミド(特にセラミドⅠ)が減少し、皮膚からの水分蒸発(Transepidermal waterloss,TEWL)が増加している状態です。

皮膚が本来持っている保湿因子が失われ乾燥した角質に、水分を補っても柔軟性を回復させることはできません。角質に水分を補給する吸湿性、それを維持する保水性とを併せもつ水和性に加えて、皮膚生理機能をも保つ保湿剤が必要になります。


●各保湿成分について
*乳酸ナトリウム、グリセリンなどの吸湿性の高い物質は、低湿度で水保持力が低いため、水溶性コラーゲンやヒアルロン酸などの吸湿性は低いが保持力の高い高分子系保湿剤が併用される。

*水溶性コラーゲンヒアルロン酸などの、吸湿性は低いが保持力の高い高分子系保湿剤が併用される
ヒアルロン酸(酸性ムコ多糖)は保湿力強く、分子量が大なので皮膚への吸収は悪いが、化粧品などの外用に用いられてきた。ヘパリン類似物質は酸性ムコ多糖からできた。(吸収力が改善されている)

*合成セラミド、コレステロールエステル、アシルアミノ酸コレステロール誘導体 水分調節能もあり、皮膚の生理機能も保つ

*尿素、ヒアルロン酸、アミノ酸、グリセリン、ヘパリン類似物質
保水力が高く保たれる
尿素は角質溶解作用があるため、角質肥厚に対してもよい。高濃度になると皮膚に刺激感があるので注意

*スクワラン、オリーブ油、つばき油、ワセリン
人工的にバリアをつくり水分の喪失を防ぐ
ワセリンは即効性があり、作用時間が長く、感作性がない。べたつきが難点。

親水性軟膏製剤(oil in water:O/W):尿素軟膏、ヒルロイド
吸水性軟膏製剤(water in oil.W/O):パスタロン、ヒルドイドソフト

参考文献:
アトピー性皮膚炎における保湿剤の選び方(関東中央病院皮膚科 日野治子先生)
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン